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めすについて
雌に就いて
「若草」1936(昭和11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,994 字 · 11 页
ちがったら、ちがった、と言って呉れたまえ。およその見当は、ついているつもりだ。君は部屋の縁側の籐椅子に腰をおろして、煙草をやる。煙草は、ふんぱつして、Camel だ。紅葉の山に夕日があたっている。しばらくして、女は風呂からあがって来る。縁側の欄干に手拭を、こうひろげて掛けるね。それから、君のうしろにそっと立って、君の眺めているその同じものを従順しく眺めている。君が美しいと思っているその気持をそのとおりに、汲んでいる。ながくて五分間だね。」
「いや、一分でたくさんだ。五分間じゃ、それっきり沈んで死んでしまう。」
「お膳が来るね。お酒がついている。呑むかね?」
「待てよ。女は、東京駅で、おそくなりまして、と言ったきりで、それからあと、まだ何も言ってやしない。この辺で何か、もう一ことくらいあっていいね。」
「いや、ここで下手なことを言いだしたら、ぶちこわしだ。」
「そうかね。じゃまあ、だまって部屋へはいって、お膳のまえに二人ならんで坐る。へんだな。」
「ちっともへんじゃない。君は、女中と何か話をしていれば、それで、いいじゃないか。」
「いや、そうじゃない。女が、その女中さんをかえしてしまうのだ。