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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
どういうんでしょ。」
「ああいうんだよ。まさに小説なんかの影響だね。お前さんにも多少の責任があるよ。」
「じょうだんじゃない。」
ぷりぷりする安江と反対に、酔っている文吉はしごくごきげんで、
「おかげでおれ、ひやかされた上におやつをおごらされてね。会社の小さい女の子までが、おじさんすみにおけないのねなんていやがってさ。ところがおれさまの方はなかなか見当がつかなくてね。宮川、宮川って何十ぺんかくりかえしているうちに、やっと浜ちゃんを思いだしたよ。ほんとさ。宮川なんてお前、浜ちゃんとくっつかない姓だよ。まったく。あしたは一つ浜ちゃんに説教しなくちゃあ。」
「いやな子ねほんとに。末おそろしいわ。」
「そういったものであるまいさ。まっすぐいけばおもしろいよ。」
「わたしはこわい。あんたたちの知らないことも知ってるんだからこわいの。心配な娘だわ。はらはらさせられる――」
「そう気にやみなさんなよ。」
「やむわよ。でもこれは決してやきもちに類したものではありませんからね、誤解しないでください。念のため――」
「はい、うけたまわっておきましょう」
半ばじょうだんのようなそんなやりとりにも、音枝はひとりはらはらしながら茶づけの用意をし、母と自分のためにはガラスのさらにイチゴをもった。