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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
」
兵六さんはまた大きなためいきをし、しかし妻や娘の前に小さくなったような様子で、
「ああ、ああ。死んで戻った方がよかったんかなあ――」
それを聞くと彼の女房は、ぱっとはねおきざま、どなりつけた。
「また、ばっかなことを。あんたが死んだって、うちじゃあ葬式も出せやしないんだからね。」
昔は言葉のていねいなのがじまんだったおせいも、こうなるとむき出しなのは言葉だけでなく、ねまきの胸まではだけたおぞましさである。若い二三子はさすがに恥じているらしく、ねたまま手をのばして母のむき出しのひざをかくしてやりながら、小声で、
「おかあさん、となりへきこえるわよほんとに、みっともないったらありゃしない。」
自分も同罪なことは忘れて、部屋借りの身の肩をすぼめる。
それをしおにおせいも二三子も起き出した。兵六さんは、ゆうべの怪我で足もくじいていることをいおうとしたがやめた。しかられるにきまっていると思ったからだ。ここまできちゃあ、もうめったなことにはためいきも、ぐちもいえない。女房にいろいろいわれてみれば、それはもう何もかもその通りだからである。しかし、それだからとて、ああまでいわなくてもという気は、心のどこかにあった。