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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
」
返す言葉もなくだまってしまった兵六さんをそれきり無視して、二三子は母親のおせいにまであいさつもせず、ぷりぷりして出かけた。しかし申しあわせはできていたらしく、おせいはすぐ二三子のあとを追った。駅までおくっていったと思えるころもどってきたおせいに、兵六さんはまた問いかけた。多少の不安と、憤りをこめて、
「二三子はなんだね。わしがものいうてもろくな返辞もせんとからに――」
「…………」
今度はおせいが返辞をしない。よくみると、おせいの目は赤くはれている。二三子と泣いて別れてきたのかと思うと、兵六さんはしゅんとなった。
「わしが悪いよ。なにもかもな。かんべんしてくれ。わしが悪いんだから。」
安ちょくにあやまってみてもそれでおせいの気が晴れるわけのものではない。そして、二三子と四五日おくれて、今度はおせいがふろしき包みを作り出したのだ。さすがにおせいは、兵六さんが問いかける前に、
「おとうさん、あんたも気の毒だけどがまんしてくださいな。わたしも今度はしばらく帰りませんからね。」
一か月の約束で住みこみの家政婦だというのだ。
「ひと月、ずっと、もどらんのかね。」