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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
「ごめんなさい。花、すぐ買ってくる。」
そうはいいながらも、がったりとした様子でたたまるようにくたくたとその場へすわりこむと、さすがに安江もいつもとちがう娘に気づいて、
「どうしたの、走ってきたような顔してさ。」
やさしくいわれると音枝は急に気がゆりて、子供のように泣きべそをかきながら、
「困ったのよ、おかあさん、困ってしまったのよ。浜ちゃんたら、どこにいるか、わかんないのよ――」
おとといの浜子のことと、きょうの音枝の三時間にわたる動きを聞くと、今度は安江の方がだまりこんでしまった。
「おかあさん、ごめんなさい。おかあさんに相談しないで、わるかったわ。ね、ごめんなさい。」
「…………」
「でも、わたし、あとでいうつもりだったのよ。おかあさんの仕事がすんでから、いうつもりだったのよ。わたしの浅知恵だったわ。ね、ごめんなさいね。」
「…………」
「ね、おかあさん、心配しないで。わたし、きっとさがし出してくるわ。」
「…………」
安江はぷいと立って部屋のふすまを立ててしまったが、しばらくすると肩をいからすようにして出てきて、まださっきのままの場所を動かずに思案している音枝に、