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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

それぞれの性質や環境によって、ひとりひとりのあり方にも考えにも相違があるとはいえ、風にそよぐ草木のように、吹きさらされてさわぎやまぬことにおいては、どれだけの相違があろう。そして、その中から浜子のような不幸も生まれるとしたら……。

「ね、妙子さん、どうしてるの?」

何気ないもののように安江は問いかけた。草原にならんで、足をなげ出している親子のやや真上に、月は小さく丸かった。

「どうも、してないよ。」

たった今妙子のことを考えていたのだというように、冬太郎はてれた口もとをし、

「きょうも、帰り、一しょだったけど。」

「そう。しあわせかい?」

「うん。」

彼はますますてれて、子供のころと同じ口もとになる。

「ね、おかあさんがこれからいうことは、少々古くさくて、センチかも知れないがね、愛情なんてものを、それが友情であろうと、恋愛であろうと、お粗末にしなさんなよ。」

「わかってるさ。信じておくれよ、おかあさん。」

「信じてるさ、信じてるからいうようなものなんだ、いってみれば。――じゃあね、深刻な問題を一つ出そう。もしもだよ、ずばりというよ、ひょいとしたことで妙子さんが妊娠したとするね、お前、どうするかね。