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ざっきちょうより(いち)
雑記帳より(Ⅰ)
寺田 寅彦
「文体」1934(昭和9)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,305 字 · 5 页
そう思って見ているとあれは実に面白い見ものである。全く感嘆に値いするものである。
土佐の田舎に「花取り」と称する踊がある。大勢の踊手が密集した方陣形に整列して白刃を舞わし、音楽に合せて白刃と紙の采配とを打合わせる。その度ごとに采配が切断されてその白い紙片が吹雪のように散乱する。音頭取が一つ拍子を狂わせるとたちまち怪我人が出来るそうである。
映画の立廻りの代りにこの「花取り」を入れて一層象徴化されたる剣の舞を見せたらどうかと思うのである。その方がまだしも「芸術的な退屈」さである。(昭和九年二月『文体』)