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ざっき(いち)
雑記(Ⅰ)
寺田 寅彦
「中央公論」1922(大正11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,568 字 · 33 页
それがどういう感情であるかと問われると私にも分らないが、しかし例えばある神性と同時にある狂暴性を具えた半神半獣的のビーイングの歓喜の表現だと思って見ると、そう思えない事はない。
私は遠い神代のわが大八洲の国々の山や森が、こういう神秘的なビーイングによって棲まわれていたと想像してみた。そうして自分がそれらのビーイングの正統の子孫であると考えてみた。そう思う事によってこの国土に対する自分の愛着の感情は増しても減りはしないような気がする。
最後に「長慶子」という曲を奏した。慶祝の意を表わしたもので、参会の諸員退出の時にこれを奏すと説明書にあったが、そのためか、奏楽中にがたがた席を立つ人が続々出て来た。
近頃にない舒びやかな心持になって門を出たら、長閑な小春の日影がもうかなり西に傾いていた。
三 ノーベル・プライズ
ある夜いつものように仕事をしていると電話がかかって来た。某新聞社からだという。何事かと思って出てみると、国際電報によって昨年度と今年度のノーベル賞金の受賞者の名前の報知が届いた、その一人はアインシュタインで、もう一人はコーペンハーゲンのニールス・ボーアという人だそうだが、このボーアという人はいったいどんな人でどういう仕事をした人かというのである。