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ざっき(いち)
雑記(Ⅰ)
寺田 寅彦
「中央公論」1922(大正11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,568 字 · 33 页
この妙な機会に私はこれで張り交ぜの屏風でも作って「人を盗賊と思わない国々」の美しい想い出にしようかと思っている。
五 善行日と悪行日
ある日新聞を見ていると妙な広告が眼についた。「サーモンデー」と大きな字で印刷してある。何かの説教でもあるかと思ってよく見ると、それは Sermon でなくて Salmon day であった。鮭の鑵詰を食う日で、すなわちその鑵詰の広告のようなものと判断された。そうしてそれが当日行われたいわゆる「節約デー」に因んだものだという事に気が付いた。
鮭と節約との関係は別問題として、私にはこの「節約デー」という文字自身が何となく妙な感じを与えた。その感じはちょっと簡単に説明し難い種類のものである。それはつまりこれから以下に私が書こうとする事を煎じつめたような妙なものであった。
歳のうちのある特定の日を限って「節約デー」を設けるという事は、従来の多くの日には節約をしていないか、もしくは濫費をしていたという事である。同じような例を挙げると、年中怠けてばかりいる学生が、一年に一日「勉強デー」を設けるのや、あるいは平生悪い事ばかりしている男が、稀に「善行デー」