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あめのたまがわしんじゅう

雨の玉川心中

山崎 富栄

01 太宰治との愛と死のノート

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,997 字 · 129 页

青空文庫

八月二十八日

あなたのいない世の中なんて、なんの楽しみがあるものか。

「御一緒に連れていって下さい」

「ごめんね、サッちゃんを頂きますよ」

「うん、頂くなんて。お願いします。お供させて下さいね」

八月二十八日

今日でもう三日目。二十六日のひるま、西山方を出た道端で太宰さん吐く。お酒のカクテルをしたためでしょうか。御体が本当に弱られたのだな、と責任もある私の体。痛ましい気持ちがして、ごめんなさいと心で詑びる。

「少し我儘なさって。養生なさって下さいね」

「有難う」と九月十二日までのお別れ。

病気したら承知しねえぞ、なんて仰言りながら、御自分が先に倒れてしまわれるなんて、御伺いできないじゃありませんか。私いつでも御一緒に逝きます。

昨夜九時半ごろ裏へ伺ったら、もう雨戸が下りていて皆様お休み。

「ね、思ってね。来てね。ときどきあそこへ来てね」って。垣根の近くまで寄って行ったらまるで新派のセットのような感じの家。お庭先が美しく掃かれていて、心地よい感じ。(注・太宰家の間取りが記してある)お休みなさい太宰さん。鼻血なんぞお出しにならないで。今日、二時ごろお近くまでいく。一つ手前の通りを入って、畑の手前から眺める。