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あめのたまがわしんじゅう

雨の玉川心中

山崎 富栄

01 太宰治との愛と死のノート

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,997 字 · 129 页

青空文庫

十一月二十八日

背広というものは、あれができたばかりの昔は、商人が着用するものだったとか、何かの本に書いてあったけど、私はMだし、陽気も急に冬めいて寒いので、「着物がいいだろう」と和服にする。

洋服だと、ガタビシ用事ができるけど、着物はあまり動くと、第一に衿もとが開いてきていやなものです。

三時ごろ野原さんを先頭に、井出さんと、お友達の方が約束通りにおみえになる。

皆様御手持ちのお酒や、ハムや水菓子を広げて会は始まる。

随分お飲みになった。

いつも酒席の前には注射してから、

「お上手にお飲み下さいね」と申し上げるのだけれど、御気性の勝ったお方なので、御無理なされるのだ。

人のよろこびを我がものと思い、人の苦しみを身のものと感じとる。

汝を愛するが如く汝の隣人を愛せ。

神のみことばは悲しい。

十一月二十八日

昨夜、野原さんが、第一に腹痛。

実は私も痛んでいたのだけれど、黙っていた。

お薬のことで、あれこれ悲喜劇があってから、修治さんも痛いと言われて、とうとう本病人になってしまわれた。

アスピリン、健胃固腸丸、スパスモヒンをやたらに飲まされて、おふとんを被る。汗が体中にじっとりと出てくる。