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あめふりぼうず
雨ふり坊主
香倶土 三鳥
「九州日報」1925(大正14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,733 字 · 4 页
お天気が続いて、どこの田圃も水が乾上がりました。
太郎のお父さんも百姓でしたが、自分の田の稲が枯れそうになりましたので、毎日毎日外に出て、空ばかり見て心配をしておりました。
太郎は学校から帰って来まして鞄をかたづけるとすぐに、
「お父さんは」
と尋ねました。
お母さんは洗濯をしながら、
「稲が枯れそうだから田を見に行っていらっしゃるのだよ」
と悲しそうに云われました。
太郎はすぐに表に飛び出して田の処に行って見ると、お父さんが心配そうに空を見て立っておいでになりました。
「お父さん、お父さん。雨が降らないから心配してらっしゃるの」
と太郎はうしろから走り寄って行きました。
「ウン。どっちの空を見ても雲は一つも無い。困ったことだ」
とお父さんはふりかえりながら言って、口に啣えたきせるから煙をプカプカ吹かされました。
「僕が雨をふらして上げましょうか」
と太郎はお父さんの顔を見上げながら、まじめくさってこう云いました。
「アハハハ。馬鹿な事を云うな。お前の力で雨がふるものか」
とお父さんは腹を抱えて笑われました。
「でもお父さん」
と太郎は一生懸命になって云いました。