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ゆきだるま
雪だるま
小川 未明
「小学少年」1923(大正12)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,203 字 · 5 页
ほんとうに、その日は、いい天気でありましたから、小鳥も木の枝にきて鳴いていました。しかし、冬の日は短くて、じきに日は暮れかかりました。西の方の空は、赤くそまって、一面に雪の上はかげってしまいました。その時分にやっと、二人の雪だるまは、みごとにできあがったのであります。
「やあ、大きいだるまだなあ。」といって、二人は、自分たちのつくった、雪だるまを目をかがやかして賞歎しました。次郎は、墨でだるまの目と鼻と口とをえがきました。だるまは、往来の方を向いてすわっていました。二人は、明日から、この路を通る人たちがこれを見て、どんなにかびっくりするだろうと思って喜びました。
「きっと、みんながびっくりするよ。」と、勇吉はいって、こおどりしました。そして、懐の中から自分のハーモニカを取り出して、だるまの口に押しつけました。ちょうど、だるまが夕陽の中に赤くいろどられて、ハーモニカを吹いているように見えたのであります。
空の色は、だんだん冷たく、暗くなりました。そして、雪の上をわたって吹いてくる風が、身にしみて寒さを感じさせました。
「もう、家へ帰ろう。そして、また、明日ここへきて遊ぼうよ。