轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆきのひ
雪の日
近松 秋江
「趣味」1910(明治43)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,365 字 · 17 页
あまり暖いので、翌日は雨かと思って寝たが、朝になってみると、珍らしくも一面の銀世界である。鵞鳥の羽毛を千切って落すかと思うようなのが静かに音をも立てず落ちている。
私はこういう日には心がいつになく落着く。そうして勤めのない者も仕合せだなと思うことがある。私たちは門を閉めて今日は打寛いで、置炬燵に差向かった。そうしてこういう話をした。
「お前は何かね、私とこうしていっしょになる前に、本当に自分の方から思っていたというような男があったかね」
「ええそれはないことはありませんでした。本当に私がお嫁に行くんなら、あんな人の処に行きたいと思ったのが一人ありました。それがしばしば小説なんかに言ってある初恋というんでしょう。それは一人ありましたよ。あったといってどうもしやしない。それこそただ腹の中で思っていただけですが、あんな罪もなく思ってたようなことは、あれっきりありませんね。ちょうどあの、それ一葉女史の書いた『十三夜』という小説の中に、お関という女が録之助という車夫になっている、幼馴染みの煙草屋の息子と出会すところがあるでしょう、ちょっとあれみたようなものです。