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ゆきのたけしとうげ

雪の武石峠

別所 梅之助

「山岳 十の一」1915(大正4)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,818 字 · 12 页

青空文庫

七時、そこで分れて、闇の中を、ぴしゃぴしゃ西条へ。

長野へゆく汽車はあれどもおそくなる。まあ泊ろうと、前の宿屋に草鞋をぬいだ。西石川の贅沢は望むでなけれど、夜の物などの浅ましさ、湯も立たぬ。

信越線を

昨夜もすこし雪が降ったのだ。凍れる朝を長野にいって、Kを驚かし、やまやという感心もせぬ旅宿に昼餐したため、白馬山におくられ、犀川よぎり、小諸のあたり浅間山を飽かず眺め、八ヶ岳、立科山をそれよと指し、落葉松の赤きに興じ、碓氷もこゆれば、曾遊の榛名、赤城の山々は、夕の空に褪赭色ににじんでいた。

武石峠へゆこうという心を起させたのは中村清太郎氏の画、途を中央線にさせたのは小島烏水氏の文のおかげです。ここでお礼を申しあげておきとうございます。