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ゆきぎえちかく

雪消え近く

小川 未明

「小学四年生」1939(昭和14)年3月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,719 字 · 4 页

青空文庫

「もう降ってもたいしたことはない。南が明るいから南風が出そうだ。そうすれば、どんどん消えてしまうからな。」と、おじさんは、いいました。三人は、顔を見合って、にっこり笑いました。おじさんの去った後です。

「さあ、みんなよく働いてくれましたね。おいしいおしるこができたから、入ってお食べなさい。」と、吉郎くんのお母さんが、戸口へ出てきて三人をお呼びになりました。

「うれしいな、早くいって食べよう。」

三人は、シャベルも、木鋤も、雪の上へほうり出してお家へ入りました。三人は、おしるこもうまかったが、それよりか大きなみかんが、なによりうれしかったのです。

「大きなみかんね。」

「こんな大きいみかんのなっているところへいってみたいな。」

「私、ご本で、みかんのなっているお山を見たわ。」

「絵なんか、つまらないよ。」

とめ子さんは、みかんを自分のほおに押しあてて、なかなか食べようとしませんでした。

そのうち、日の光がぱっと窓へ射しました。へやの中が急に明るくなりました。三人は、すぐに外へ飛び出していきました。

かげろうが、軒下で、輪を造って、おどっていました。すぎの木の枝に当たる風が急になまあたたかく感ぜられたのです。