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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
東京の学校が休みになったので、彦太少年は三月ぶりに木谷村へ帰って来た。村はすっかり雪の中にうずまっていた。この冬は雪がたいへん多くて、もう四回も雪下ろしをしたそうである。駅をおりると、靴をかんじきにはきかえて村まで歩いたが、電柱が雪の中からほんのわずかに黒い頭を出しているばかりで、屋根の見える家は一軒もなかった。
「この冬は、これからまだ三度や四度は、雪下ろしをせねばなるまいよ」
と、迎えに来てくれた父親はそういって、またちらちらと粉雪を落しはじめた灰色の空を恨めしげに見上げた。
「五助ちゃんは何している? ねえ、お父さん」
彦太は、仲よしの五助のことを尋ねた。
「ああ五助ちゃんか。五助ちゃんは元気らしいが、此頃ちっとも家へ遊びに来ないよ」
「ふうん。僕が居ないからだろう」
「それもあるだろうがな、しかし噂に聞けば、五助ちゃんたちは三日にあげず山登りに忙しいそうだ」
「山登りって、どの山へ登るの。こんなに雪が降っているのに……」
「さあ、それはお父さんも知らないがね。とにかくあの家の者は変っているよ。今につまらん目にでもあわなきゃいいが……」
「つまらん目って、何のこと」