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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
雪とけて
果して雪崩の下から、どんな怪しい事が掘りだされるだろうか。
雪とけて
変事を知ってかけつけた村人たちは、雪の中に一生けんめいに雪崩のあとを掘りかえした。しかし仕事は思うように進まず、やがて夜が来た。ふもと村からはこばれた薪があちこちにつみあげられ、油をかけて火をつけると、赤い焔はぱちぱちと音をたてながら燃えさかり、雪の山中はものすごく照らし出された。掘出作業は、夜中つづけられたが、それでもまだ目的をはたすことができなくて、ついに暁をむかえたが、どこまでも不幸なことに、その頃になって、またもや猛烈な大吹雪となってしまった。それは今も気象台の記録に残っている三十年来の大吹雪の序幕だった。
そうなると、もう人間の力ではどうにもならなかった。人々は涙を流しながら、山はそのままにして、生命からがら、ふもと村へ引きあげねばならなかった。その中には五助も彦太もまじっていた。
あの変事も、記録やぶりの大吹雪も、共に青髪山の魔神のたたりだといううわさが、その後その地方にひろがったのも、ぜひないことであったろう。
それから数ヶ月の日がたった。
五月の半ばすぎのある日、五助の家へひょっくりと彦太がすがたをあらわした。