轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
彦太は振返って後から来る父親の顔を見上げた。しかし父親は、ちょっと呻っただけで、それにはこたえなかった。
その翌朝、彦太はもうじっとしていられなくて、先のとがった雪帽を肩のところまで被り、かんじきの紐をしめると、家をとびだした。雁木道がつきると、雪穴をのぼって、往来へ出た。風を交えた粉雪が横から彦大の身体を包んでしまった。五助の家まで、まだ五丁ほどあった。
五助は家にいた。そしておどりあがって彦太を迎えた。
火炉のむしろに腰をかけて、仲よしの二人は久しぶりに向きあった。東京から買って来たお土産の分度器と巻尺が五助をたいへんよろこばせた。
「五助ちゃんは三日にあげず山へ行くってね。どの山へ行くんだい」
彦太は、聞きたいと思っていたことを、すぐに尋ねた。
「うん」
五助は簡単な返事をしただけで、しばらく口をつぐんでいたが、やがて、
「誰にそんなことを聞いたの」
と、ちょっとかたい目付で逆に尋ねた。
そこで彦太は、「それはお父さんが村の誰かから聞いたことさ」といった。すると五助はかるくため息をついて、
「やっぱりもう知れわたっているんだな。だから僕は、こんなことをかくしておいても駄目だと、はじめにいったんだけれどね」