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せつま
雪魔
海野 十三
「東北少国民」河北新報社、1946(昭和21)年3月~9月号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,355 字 · 27 页
しかしあとからまたぞろぞろとはいだしてきて、兄さんにかかってきた。すごい力の奴だ。兄さんはついにピストルをうった。それでようやく相手はひきさがったが、兄さんはざんねんにも両足を折られてしまって、動けなくなった。そこで手だけを使って穴を出ようとしたが、どうしてもだめだった。穴の中では電池がたおれ硫酸がこぼれているうえに、水でぬかるみとなり、しかも穴の外は高くなっていてとてものぼれない。ざんねんだ。お前の来てくれることを祈っている。
いったい何奴だろう、思いがけなく穴の奥から現われた奴は?
人間とは思われない。からだは人間の二倍ぐらいもあり、灰色の毛がからだ中に生えていた。しかしけだものでもないと思う。ちゃんと両足で立ち、声を出して話をし、穴の上を蝙蝠のようにとぶのを見た。足は蛙のように見えた。そしてくさい。なにか、瓦斯みたいなものを出すのだ。たしかに高等な生物だ。
いったい何者だろうか。
そうだ、あれかも知れない。あれというのは、地球が四回氷河期をむかえたが、その前にこの地上にすんでいた高等生物の子孫ではないかと思う。その当時、彼らのあるものは地上がさむくなったため、地中へにげこんだのだ。