轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くもとこもりうた

雲と子守歌

小川 未明

「新児童文化 第1冊」1946(昭和21)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,823 字 · 10 页

青空文庫

「おお、よしよし。」と、母親は、我が子をしっかりと抱いたのでした。

「お母さん、どこかへいってしまってはいやよ。」

「どこへいくもんですか、坊やとここにいるじゃありませんか。」

「お母さん、じきだまってしまうのだもの。」

「いいえ、さっきから、うたっているのですよ。」

「よく、うたってよう。」

母は、こんどは、しずかに、ゆっくりと力づよく、うたいはじめるのでした。こうしてうたうことによって、いくらかでも子供の気持ちが休まるなら、自分は、生命のつづくかぎり、どんなにでもして、うたうであろうとうたったのでした。考えると、こうしてうたったことは、今夜だけでなく、この子が生まれたときから、いくたびあったであろう。たとえば、気むずかしく、どうしても眠らなかったときとか、病気で、夜じゅう泣き明かしたときとか、母として、べつに他につくす手もなければ、おばあさんに、自分がうたってもらった記憶をわずかに呼び起こして子守歌をうたい、やっとねかしつけ、すこしでも安らかなれと祈ったのでした。母と子の愛に昔も今も変わりはなかったのです。

控え室にかかっている時計が、規則正しく、鳴るのが聞こえました。