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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 页
「一体、此の女は何処から入って来たんだろう?」
赤羽主任は脳髄の痺れるのを感じた。が、その疑問は疑問として、とにかく天井裏の屍体も、差当り放っては置けなかった。
やがて、発見者の刑事を先頭に赤羽主任や刑事連は、釜場の梯子を上って行った。向井湯の主人も、命ぜられて兢々と一同の後に続いて昇って行った。
由蔵の部屋は、わずか三畳敷の小室であった。西に小窓が一つあって、不完全な押入が設けられてあった。その押入の中には、柳行李やら鞄やらが入っている。そして、成程、天井の板が一枚めくられていた。一同はゴソゴソとその穴から天井裏へ抜けて出た。
懐中電灯の光芒が縦横に飛び動いて、四辺の状態をそれぞれの眼に瞭りと映して呉れた。そこは、上って見ると、こうも広々としているものかと思われる程、ゆったりとした天井裏であった。頑丈な棟木が交錯して、奇怪な空間を形作っている。と、十間ばかりの彼方に、正しく俯臥せに倒れている屍骸が認められた。
主人の証言によって、それは些の疑いもなく由蔵の屍体であると判明した。
赤羽主任は、殆んど迷宮に途惑った人間のように、甚しく焦立ちながらも、決して検証を怠らなかった。