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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 页
することも不可能となって来るから、此の辺も尚不審である。
赤羽主任は考え疲れて、頭がフラフラするのを覚えながら、一同と共に再び階下に降りて来た。
由蔵の部屋から釜場へと梯子を降りている時、赤羽主任は、奥の居間から、湯屋の女房が茶盆を持って出て来るのを見た。と、同時に、彼は、ハッタと、忘れていた或事に気がついた。先刻、女房が云ったことには、釜場の下で変な裸体の女に突き当った。その女が「女湯の方は何事もない」と云ったのにも拘らず、僅か幾分と云わせずして、女の屍体が発見されたではないか。女が、女湯の方へ入った時には、女の屍体はどうしても其処にあった筈である。それなのに彼の疑問の女は何事も言わなかった。ひょっとすると、その女が、惨殺された女の着衣や下駄を自分の身につけて、澄ました顔で表戸から出て行ったのではなかろうか? だが、もしそうだとすると、その女は一体何処から来て、彼女の真実の着衣や下駄は何処にあるだろうか。仮に、その女が犯人だとしても、まさか女が裸体で天井裏にいたのもおかしいし、また女が女湯から活動を撮るなども変な話である。
――そう考えながらも、赤羽主任は、孰れにしろ、その惨殺された女の着衣と下駄を探すことが、事件の解決に最も役立つものであることを知って、後ろに続いて来た部下の一人に命じた。