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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
「新青年」博文館、1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 页
「由蔵の部屋の持物を全部洗ってみろ、女の持物が出て来るかも知れないからな」
梯子を降りかかった刑事の一人は、そう云われて直に再び部屋へ取って返した。
やがて五分も経ったと思われる頃、その刑事は由蔵の部屋から顔を出して勢いよく答えた。
「主任、ありました。何だか、おかしなものが出ましたぜ!」
「ふむ、そうか、何だね?」と主任の声。
「ま、ちょいと来て御覧なさい!」
刑事は頬の辺りを変に歪めて、いやらしい笑いを見せた。赤羽主任は云われるままに梯子を昇って行ってみた。
室の中央に投げ出された柳行李の中に、一杯女の裸体写真が詰まっていたのだ。それは主にサロンの安っぽい印刷になる絵葉書や、新聞雑誌の切抜らしいものばかりであったが、更にその奥の方からは、独逸文字の学術的な女の裸体研究書などが出て来た。が、それにも拘らず、目的の女の着衣は部屋の何処にも見当らなかった。
然し、斯うなると、由蔵に就ても余り軽々しく考えられなくなって来た。何故なら、それらの持物でも判るように、由蔵は立派な変態性慾者であるに違いなかったからである。
暫くして、又刑事は押入の隅から望遠鏡のサックを曳っ張り出した。