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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

高一は、なんとかしてミドリにめぐりあいたいと、それを思いつづけました。

すると、にわかにはげしいくつ音がして、船ぞこへ大勢の人がかけおりてくるようすです。

「おい、早くさがせさがせ。早くしないと、沖に見はっている日本の軍艦にしずめられちゃこまる」

「だって、電気鳩がまさかこんな船ぞこまでとんでくるものですか」

「やかましいやい。お前がぼんやりしているから、こんなことになるんだ」

そのうちに、どうんと大砲の音です。

「さあ、日本の軍艦がうったぞ。船をとめろというあいずだ。すぐ電気鳩をさがさないと、ほんとうにうたれるぞ」

そういうこえは、たしかにあのにくいスパイ団長のこえです。

どうやら電気鳩がにげたようすです。そしてこの汽船は、日本の軍艦においかけられているらしいのです。

高一はそれを知って、胸をおどらせました。近くの海を見はっている日本の軍艦が、このあやしい船をみつけてきてくれれば、きっと助かるにちがいない。

しかし、その前に日本の軍艦の砲弾が、この汽船にうまく命中すれば、高一はたるとともに、海ぞこふかくしずんでしまわねばなりません。どどうんどどうんと、砲声はいよいよ近づいてきます。