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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

ていたのです。

「あっ、電気鳩だ。なぜこんなところにはいっているのだろう」

目のぴかぴかひかる電気鳩です。人がさわれば、電気がつたわって死ぬ電気鳩です。そして、スパイ団長が船のなかで行方をさがしていたその電気鳩です。

きっと、なにかのひょうしで、このたるのなかへまよいこんだとき、うんわるく、ふたがぱたんとしまって、でられなくなったのでしょう。

電気鳩はどうかしたらしく、足でたつこともできず、ぱたぱたとつばさをふるわせるばかりで、元気がありません。高一は安心して、電気鳩を、たるの中から棒きれでそっとだしてみました。

「へんだなあ、あんなにあばれた鳩だったのに」

高一は、首をかしげました。

高一は、思いがけなく電気鳩を、とりこにしたので、たいへんうれしく思いました。しかし、このままにしておいては、いつスパイ団にとりもどされるかもしれないと思ったので、高一は、鳩をもとどおりたるのなかへいれたのち、海岸の砂はまに、大きな穴をほり、そのなかにうめてしまいました。

「こうしておけば、スパイ団にみつかるしんぱいはないだろう。さあ、こんどはかわいそうなミドリを、たすけてやらなくてはならない」