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あおいいしとメダル

青い石とメダル

小川 未明

「婦人倶楽部」1932(昭和7)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,652 字 · 8 页

青空文庫

たのでないかしらんと、胸がどきどきしました。勇ちゃんは、外へ飛び出していって、クロの姿を見るまでは、安心されなかったのであります。

ある日、勇ちゃんは、徳ちゃんが、銅製のメダルを持っているのを見ました。そのメダルは、ちょうど、畜犬票が、古くなったような、大きさも、色合いも、そっくりでありましたので、もしこれを犬の首輪にぶらさげておいたら、だれの目にも、畜犬票と見えるであろうと思いました。

「徳ちゃん、そのメダルを、僕にくれない?」

と、勇ちゃんは、いいました。

徳ちゃんは、目をまるくして、驚いたというようなようすをして、

「これは、僕、やっと人からもらった大事なやつなんだぜ。デッドボールの優勝メダルだからな。」と、徳ちゃんは、答えました。

「なにかと交換しようよ。」と、勇ちゃんは、いったのです。

「どんなものと?」

「万年筆と……。」

「いつかのかい、あんなものはいやだ。だってプラチナがなくなって、そのうえ、こわれているんじゃないか? あんなもの、字なんか書けやしないもの。」

「じゃ、僕の持っているもので、なんでも、君の好きなものと換えてくれないか。」

勇ちゃんが、こういうと、徳ちゃんは、メダルを勲章のように、自分の胸のあたりにつけるまねをしてみせました。