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あおいふろしきづつみ

青い風呂敷包

大倉 燁子

「キング 一三巻四号」1937(昭和12)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,612 字 · 28 页

青空文庫

「ご冗談でしょう。まさか――、あんな醜男、妹が好くわけないじゃありませんか」

「しかし、同棲までしていたんだからね」

「それや拠ない事情があったから――、ほんの申訳ばかりに、一緒の家で暮らしていたというだけのことですわ」

「どういう事情?」

「百合子は相当容色に自信があったもんですから、女優になりたい、と、口癖のように言っていたんですよ。すると吉川さんがそれを聞いて、いくら美人でも、立派な人の紹介がなくっては女優にはなれない、仮りになれたところで一生下積みで、スターなんかにはなれッこないんだ。そこへゆくと紹介人のいい人はどんどん出世する、幸い自分の伯父さんに映画会社の重役があるから、頼んでやろう、と云うんです。その代り、女優にしてやったら僕と結婚するんだよ、と冗談のように云ったんです。女優になりたい、という事しか考えていない妹は深い考えもなく、うかうかと約束してしまいました。ですが――、私の口から云うと可笑しいけれど、百合子はほんとに美しい顔をしていますし、姿もいいから、吉川さんに頼まなくったって、充分採用される価値はあると思うんですわ。それだのに、吉川さんッたら、僕が女優にしてやったんだ、と恩に被せて、遂々無理やりに約束を履行させちゃッたんですの。