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あおべかにっき

青べか日記

山本 周五郎

――吾が生活 し・さ

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,334 字 · 76 页

青空文庫

在浦安町

併し余が声をかけたら逃げて行って了った。夕景になって葛西へ渡り、堤を川に沿って下った。鮒やせいごを釣る人達がいた。スケッチを一枚した。南風が実った稲の上を吹渡っていた。十四軒の方では既に稲を刈って干していた。今は夜である。高梨が訪ねて帰ったところ。彼、退屈であると。さて寝よう、末子よ幸福でおいで。(九、一六)

今週はずっと木挽町で過した。今帰ったところ。一昨日感冒に冒された。軽い鼻加多児で弱っている。少しずつ涼しい。誰からも手紙がない。別に何も考えなかった。何も書かなかった。(九、二二)

随分日記を怠けた。余はいま神経衰弱と感冒とで弱っている。少し寒い。二十四日には佐藤鉄太郎中将と会った。中将の著、「国防史論」に談が及ぶや、中将は明らかに亢奮し、資料などを示して大いに好意を見せて呉れた。帰りには玄関まで送り出し、余の為に傘の心配までしてくれた。――今日は少し具合が宜い。余は居を移す積りである。(二五八八、九、二六)

在浦安町(柳の家に移る)

今日、霖雨を冒して移転。柳の家に棲む。高梨と通船の二船員が熱心に手伝って呉れた。午後から風雨。

新居は川に面し、葛西と妙見島を見晴らす。