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『しゅっけとそのでし』のついおく
青春をいかに生きるか
倉田 百三
倉田百三『青春をいかに生きるか』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『出家とその弟子』の追憶、愛の問題(夫婦愛)、学生と教養、学生と生活、学生と先哲、学生と読書、女性の諸問題、人生における離合について、婦人と職業、芸術上の心得。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,413 字 · 190 页
如何に多くのイデアリストの憧憬に満ちたる青年が、このことからたちまち壮年の世俗的リアリズムに転落したことであろうか。
かりに既婚者の男子が一人の美しき娘を見るのと、未婚者の男子がそうするのとでは、後者の方がはるかに憧憬に満ちたものであることは容易に想像されるであろう。それが未婚者の世界の洋々たる、未知のよろこびなのだ。その如くに童貞者にあるまじりなき憧憬は青春の幸福の本質をなすものであってひとたび女を知るならば、もはや青春はひび割れたるものとなり、その立てる響きは雑音を混じえずにはおかなくなる。そしてそれは性の問題だけでなく、人生一般の見方に及ぶのである。いかなるイデアリストの詩人、思想家も、彼が童貞を失った後にそれ以前のような至醇なる恋愛賛美が書けるはずはない。自分の例を引けば、「異性の内に自己を見出さんとする心」を書いたとき私はまだ童貞であった。性交を賛美しつつも、童貞であったのだ。
私はかようなことに好んでこだわるのではない。青春にとってこれは重要なことであって触れずにおれないのだ。誰しも青春の長いことを望まぬものはあるまい。その長さは人生の幸福をはかる重要な尺度である。