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せいしゅんろん
青春論
「文学界 第九巻第十一号、第十二号」1942(昭和17)年11月1日、12月1日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,657 字 · 69 页
ただ、僕流にゆがめてあるのは、これは僕の考えだから仕方がない。
武蔵が吉岡清十郎と試合したのは二十一の秋で、父の無二斎が吉岡憲法に勝っているので、父の武術にあきたらなかった武蔵は、自分の剣法をためすために、先ず父の勝った吉岡に自分も勝たねばならなかった。
武蔵は約束の場所へ時間におくれて出掛けて行った。待ち疲れていた清十郎は武蔵を見ると直ちに大刀の鞘を払った。ところが武蔵は右手に木刀をぶらさげている。敵が刀を抜くのを見ても一向に立止って身構えを直したりせず、今迄歩いてきた同じ速度と同じ構えで木刀をぶらさげたまま近づいてくるのである。試合の気配りがなくただ近づいてくるので清十郎はその不用意に呆れながら見ていると、武蔵の速度は意外に早くもう剣尖のとどく所まで来ていた。猶予すべきではないので、清十郎はいきなり打ちだそうとしたが、一瞬先に武蔵の木刀が上へ突きあげてきた。さては突きだと思って避けようとしたとき、武蔵は突かず、ふりかぶって一撃のもとに打ち下して倒してしまった。清十郎は死ななかったが、不具者になった。
清十郎の弟、伝七郎が復讐の試合を申込んできた。