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あおばのした

青葉の下

小川 未明

「せうがく三年生」1938(昭和13)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,066 字 · 3 页

青空文庫

峠の上に、大きな桜の木がありました。春になると花がさいて、とおくから見るとかすみのかかったようです。その下に、小さなかけ茶屋があって、人のいいおばあさんが、ひとり店先にすわって、わらじや、お菓子や、みかんなどを売っていました。

荷を負って、峠を越す村人は、よくここのこしかけに休んで、お茶をのんだりたばこをすったりしていました。

賢吉と、とし子と、正二は、いきをせいて、学校からかえりに坂を登ってくると

「おばあさん、水を一ぱいおくれ。」といって、飛びこむのでした。

「おお、あつかったろう。さあ、いまくんできたばかりだから、たんとのむがいい。」と、おばあさんは、コップを出してくれました。おばあさんは、峠の下から、二つのおけに清水をくんで、天びんぼうでかついで上げたところでした。

ところが、自動車が、こんどあちらの村まで通ることになって、道がひろがるのでありました。それで、桜の木をきろうという話が起こったのです。それに、はんたいしたのは、もとよりおばあさんでした。つぎには、この茶屋に休んで、花をながめたり、涼んだりした村の人たちです。それから、賢吉や、とし子や、正二などの子供たちでした。