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おんぱのさつじん

音波の殺人

野村 胡堂

「新青年」1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,399 字 · 30 页

青空文庫

「ひどい事を言ったものだね、君は」

早坂勇も呆れ返りました。

「だから俺は新聞記者を止そうと言ったのさ、博士が犯人だという事が判ると、何んでも彼んでも白状させて、新聞の特種にのせ度かったんだ、――博士は生きて居る気は無かったかも知れないが、死期を早めたのは確かに俺のせいだよ、それに殺人音波は嘘だが、あの大管弦楽団の代用する機械は素晴らしいものだったに相違ない、それを灰にしてしまったのは惜しいことだ」

「――――」

「今から考えて見ると、博士よりも悪いのは、若菜と、若菜をめぐる不良共さ」

「――――」

千種十次郎の打ち萎れた顔を見ると、早坂勇もツイ考え込んでしまいました。

「お互にもう此辺で足を洗おうか、勇」

「――――」

そんな事を話して居る最中、重役室では千種十次郎と早坂勇をどう褒めたものか評議して居りました。

「千種さん、早坂さん、重役室までお出下さい」

給仕が呼んで居ります。

「辞表は後で出すとして、口頭で退くぜ」

「宜いとも」

二人は顔を見合せて淋しくうなずきました。