轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すまでらふきん

須磨寺附近

山本 周五郎

「文藝春秋」1926(大正15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,396 字 · 21 页

青空文庫

「さっき弾いていらした琴は何です」

「――千鳥」

清三はそこまできて初めて康子の顔を見た、康子は瞳を動かした。

清三は三日寝て起きた。

清三の心には明かに期待が生まれ始めた、従って家の中の空気がひじょうに緊張して感じられるようになった、そしてそのなかで幸福と不安との入混った落着かない日を送った。

ある日清三は、社で電話を受けた、でてみると康子だった。

「帰りにちょっと松竹座に寄ってちょうだい、二階の正面の五番にいます」

それだけの用件を云うと、電話はきれてしまった、清三は退けまでの時間をすこぶる愉快に過ごした。

神戸の駅に到着いたのは五時に近かった、あいにく雨が降り出していたので、清三はわずかなところを電車に乗った。電車の中で青木に逢いはしないかという考えがなぜともなしに軽い怖れを感じさせられたのが自ら不愉快でならなかった。

劇場の前はいたずらに明るくして、人の姿は絶えていた、灯の色の華やかなだけ、ひっそりした前庭の雨は佗しかった、茶屋から行けばすぐ案内してくれるのは分かったが、なぜかそうするのが気まずかったので、清三は幾許かの入場料を払って中へ入った。