轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
20 金鳳釵
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,406 字 · 27 页
棺があるわけでもなければ筵でつつむわけでもない、草原のほどのいいところを浅く掘って投げこみ、その上にいい加減に土をかけて投げこんだ日と男女の別を木片に書きつけて差しこんである。
乙丑八月十四日、女、と書きつけたまだ真新しい木標。
「これでございます」
「掘りだしてくれ、傷をつけないようにな」
「合点でございます」
こんもりと小高くなった土饅頭のはじのほうから鍬を入れて掘りひろげてゆく。けさ早く長雨があがったばかりのところで、土がズブズブになっているからわけはない。
下働きの非人は土を跳ねながらせっせと掘っていたが、そのうちにだしぬけに鍬を休めて、
「旦那、ございませんです」
「どうしたと?」
「どうもこうも、死骸がございません」
ひょろ松は、せきこんで、
「そ、そんなはずはねえ。手前、有所を間違えたンじゃねえか」
「とんでもない。この通り、乙丑八月の十四日としてあります。投げこみましたのはこのわっちなンで。間違えるなンてえことは……」
「おい、おれに鍬を貸せ」
ひょろ松が夢中になって掘りはじめたが、出てくるものは石ころや木の根ばかり。
顎十郎は、いつになく引きしまった顔つきになって、