轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かぜのたより

風の便り

太宰 治

1942(昭和17)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,044 字 · 66 页

青空文庫

私は極端に糠味噌くさい生活をしているので、ことさらにそう思われるのかも知れませんが、五十歳を過ぎた大作家が、おくめんも無く、こんな優しいお手紙をよくも書けたものだと、呆然としました。怒って下さい。けれども絶交しないで下さい。私は、はっきり言うと、あなたの此の優しい長い手紙が、気に食わぬのです。葉書の短い御返事も淋しいのですが、こんなにのんきにいたわられても閉口です。私の作品には、批評の価値さえありません。作品の感想などを、いまさら求めていたのではありません。けれども、手紙の訴えだけには耳を傾けて下さい。少しも嘘なんか書きませんでした。どこが、どんなに嘘なのでしょう。すぐに御返事を下さい。

わがままは承知して居ります。けれども、強い体当りをしたなら、それだけ強いお言葉をいただけるようでありますから、失礼をかえりみず口の腐るような無礼な言いかたばかり致しました。私は、世界中で、あなた一人を信頼しています。

御返事をいただいてから、ゆっくり旅行でもしてみたいと思って居ります。「へちまの花」の印税を昨日、本屋からもらいましたので。なおまた、詩人の加納さんとは、未だ一度もお逢いした事はありませんが、あなたから、機会がございましたら、木戸がよろこんでいたとおっしゃって下さい。