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ふうりゅう
風流
「新潮 第四八巻第十三号」1951(昭和26)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,419 字 · 19 页
日本中どこへ行っても似たような貧寒な庶民住宅を眺め、そして、それが戦災に焼けなかったために却って暗くみすぼらしいのに目をうたれながら、アア、なんて因果な旅をしたのだろう。なんて悲しい物を見たのだろう。
「戦争直後に旅をした方がシアワセだった」
私はまったくそう思った。そうすれば、敗戦直後の焼跡のマーケット時代よりも暗くて汚い焼け残りの都市などは日本に存在しなかったのだ。たった六年間で、アベコベだ。戦災都市ではまだ生々しい戦争の惨禍を見ることはできるが、それを見て戦争の惨禍にうたれるよりも、たった敗戦の六年後には、焼けない都市の庶民住宅が焼跡のバラックよりも貧寒だという異様な発見に心の重たくなる方が切ない。
「異様なものを見てしまった」
私はそう呟かずにいられなかった。
だが、戦災都市の人々の多くは決してそう考えてはいないのである。
「焼けない前のこの町はキレイでした」
どこの戦災都市でも人々の言うことはきまっていた。失われたフルサトがあなた方にとって母親と同じように大切で美しく胸に残っているのは当然だが、しかし旅行者の公平な目で見ると、そのような事実の存在は考えられないのである。