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ふうぼう
風貌
小山 清
――太宰治のこと
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,448 字 · 32 页
私は少年に託した手紙では、自分の躯ではこちらに長くいるというわけには行かないので、来年の九月頃までには内地に帰りたいと伝えていたのだ。太宰さんから来た葉書には、それに対する返事としては、東京の生活難は、いよいよひどい、貸間の権利金一万円などと言っているとだけしか書いてなかった。私は編輯者から手紙をもらった機会に、また便りをしようと思いながら、また出しそびれてしまった。気不精、筆不精というものは仕方のないものである。出しそびれているうちに電報が来た。
私は遠く離れていたので、太宰さんの最後の時期の生活を全然知らない。上京して、逝くなられる前の写真を見たが、どれも、なんて悲しい顔をしているんだろうと思った。
死ぬ前に一度会いたかった。
太宰さんの仕事部屋には、私の原稿を包んだ紙包が残っていた。表には北海道の住所と私の名が書いてあった。私にとっては未知の女性の筆になるものであった。見覚えのあるものではなかった。
私は太宰さんが逝くなられた年の十月の始めに、東京に帰ってきた。少年に託した手紙で、太宰さんに云ったような工合になった。
私は東京に帰ってきて、昨年の十一月まで、板橋区のはずれの成増に住んでいた。