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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
――東北農村惨状報告書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,478 字 · 31 页
割に暖かいが、がさごそと、いや全く、綿布団とは大変な違いだ」
私は、岩手の山間の百姓達の生活が、生蕃人ほどの原始的であることに驚いたのであったが、青森の百姓達も、これほどなのかと、再び驚かずにはいられなかった。その前日、やっぱりワラの中に寝る百姓達の話をした男が、
「飢饉は飢饉として救わねばならぬが、同時に、この機会に、岩手、青森の百姓達の生活が、この年まで、いかに原始的な惨めな生活に虐げられて来ているかを暴露して、都会の消費生活者の目を覚してやらねばならぬ。昭和の御代に、粟や稗を常食とし、ワラの中に寝起きしている日本人がいるのだ、という事実を、為政当局者の眼前へさらけ出して見せねばならぬ!」と、叫んだのであったが、私も、この老婆の話を聞きながらも、全くそうだと思わずにはいられなかった。
老婆は今迄の話の結論のようにして、こういう意味を言ったのである。「さっきの話ではないが、人の肉を喰ったのは昔の人ばかりではない。わし達も、つまりは人間を喰い合っている。子供を生かそうとすれば、親の肉を喰わせねばならぬし、親を生かそうとすれば子供の肉を喰わねばならぬ。