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あめチョコのてんし

飴チョコの天使

小川 未明

「赤い鳥」1923(大正12)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,597 字 · 10 页

青空文庫

天使は、真っ暗な中にいて、いま汽車が、どこを通っているかということはわかりませんでした。

そのとき、汽車は、野原や、また丘の下や、村はずれや、そして、大きな河にかかっている鉄橋の上などを渡って、ずんずんと東北の方に向かって走っていたのでした。

その日の晩方、あるさびしい、小さな駅に汽車が着くと、飴チョコは、そこで降ろされました。そして汽車は、また暗くなりかかった、風の吹いている野原の方へ、ポッ、ポッと煙を吐いていってしまいました。

飴チョコの天使は、これからどうなるだろうかと、半ば頼りないような、半ば楽しみのような気持ちでいました。すると、まもなく、幾百となく、飴チョコのはいっている大きな箱は、その町の菓子屋へ運ばれていったのであります。

空が、曇っていたせいもありますが、町の中は、日が暮れてからは、あまり人通りもありませんでした。天使は、こんなさびしい町の中で、幾日もじっとして、これから長い間、こうしているのかしらん。もし、そうなら退屈でたまらないと思いました。

幾百となく、飴チョコの箱に描いてある天使は、それぞれ違った空想にふけっていたのでありましょう。