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しゅせきとばっせき

首席と末席

佐々木 邦

「雄弁」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,378 字 · 15 页

青空文庫

校長のジョーンズ博士は、

「学校の発展は喜ぶべきことですが、神さまは同時に意味深長な御警告を与えていられます。今年は本校始まって以来高等科の上級生の数が多いと思っていましたら、十三という不吉数に達しています。すべて急速の進歩には危険が伴います。私達は大いに自ら省るところがなければなりません」

と言って案じていた。これによっても如何に消極的な学校か察しがつく。中等科は相応生徒の数があったが、高等科は各級とも先生より生徒の方が少ない。それが今急に世間並になったので、校長さんは心配を始めたのである。

「学校が神の国へ向けて発展して行くなら真に結構です。しかし若し世俗的隆盛に進むのなら寒心すべきことです。私は上級生が十三人という甞つてない多数に達したのを不思議に思います」

「先生、十三という数は何故いけないんですか?」

とその折一人が尋ねた。知っているけれど訊いて見て会話の練習をする。

「十三は致命的です」

「この中からユダが一人出るんでしょうか?」

と質問するものもあった。

「いや、十三を不吉とするのは遠く基督以前からで、基督教国に限りません。トルコ人は十三という字を辞書から殆んど駆逐しています。