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たかいきとからす
高い木とからす
小川 未明
「こくみん三年生」1946(昭和21)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,947 字 · 4 页
」と、おじいさんはおっしゃいました。
これを聞くと、重ちゃんは、急にからすがいとしくなりました。小さな鳥の身ながら、よく大きな自然の力にうちかとうとする精神をもつものだ、と考えたからです。それなのに、自分がその巣をとっていいものだろうか。雨風の音に、耳をすましながら、
「どうか、からすの巣がぶじでありますように……。」と、重ちゃんは神に祈りました。
台風は、晩方までに去ったとみえて、夜は、星が、きらきらとかがやきました。そして、めっきり涼しくなりました。
あくる日、林へいってみると、ほかの木立は、枝が折れたり、葉がちぎれたりしていたけれど、すぎの木は、もとのままの姿で、高くそびえていました。からすの巣もぶじで、親がらすは早くから、子供たちのために餌さがしに出かけ、やがて帰ると、待ちわびていた子がらすが、巣の中で、しきりに鳴くのが聞こえました。
重ちゃんは、自分も、りっぱな人間となるために、ふだん、その心がけを怠ってならぬと、感じました。