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たかいきとこどものはなし
高い木と子供の話
小川 未明
「キング」1929(昭和4)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,979 字 · 10 页
三
三
ある日のこと、友だちが、わいわいいいながら、あちらからやってきました。
「善ちゃん、君なら、とれるよ。地主さんの屋敷のすぎの木に、からすが巣を造ったのだ。下からも、よく見える。いって捕ろうや。」
「高いかい。」と、善吉は、聞いた。
「それは、高いさ。善ちゃんでなければ、だれも、あんなところへ登れないや。」
こうおだてられると、善吉は、つい、みんなとそこへいってみる気になりました。なるほど、すぎ林の中のいちばん高い木の上の方に、からすは、巣をかけていた。風が吹くたびに、木の枝が揺れて、黒い円い塊が、よく見えたり、また見えなくなったりしました。
「あの中に、からすの子がいるよ。善ちゃん、登って捕っておいでよ。」
「垣根を破って、はいったら、しかられるからいやだ。」と、善吉は、頭を振りました。
「だいじょうぶだ。ここで、番をしているから。」
「善ちゃん、君は、木登りがうまいんじゃないか?」
「からすがくると、頭をつつくだろう。」
「いま、親がらすは、どこかへいっていないぜ。」
ちょうど、どこからか親がらすが帰ってきました。つづいて、また、一羽帰ってきました。母がらすと、父がらすだったのでありましょう。