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おにたいじ

鬼退治

下村 千秋

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,214 字 · 11 页

青空文庫

」

「さぁ何だろう。」

「わからないかね。それは人間どもに飼われている鶏というけものだ。」

「鶏! 初めて聞く名だな。だが、いったいそれがどうしてそんなに強いんだね。」

「それはこうだ。その鶏という奴はトッテクーと鳴くのだ。取って食うと鳴いたら最後、どんなものでも取って食ってしまうのだ。恐ろしい奴だ。」

「なるほどそんな鳴き声をする奴は外にはいない。そいつぁよっぽど強い奴だろう。」

この話を天井で聞いていた勘太郎は「しめた」と思った。するとその時、大将の鬼が鼻を天井に向けてもがもがさせながら、

「何だか人くさいぞ。」と言い出した。

ぐずぐずしていたら、あべこべに取って食われると思った勘太郎は、そこで寺中に響くような声を張りあげて、

「トッテクー……」と叫んだ。

さぁたいへん、鬼どもはあわてふためきながら逃げ出した。家来の一匹は土間へもんどり打って転げ落ち腰を折ってしまった。他の二匹の家来は柱に頭をぶつけて頭の鉢をぶち割ってしまった。大将の鬼は旦那座から一足飛びに土間へ跳ね下りようとして、囲炉裏にかけた自在鉤に鼻の穴を引っかけてしまった。すると、

「鶏につかまった。