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おにたいじ

鬼退治

下村 千秋

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,214 字 · 11 页

青空文庫

その足音は少なくも八本か十本ぐらいの足で踏みならす音であった。間もなくその足音は、勘太郎の隠れている天井の下の炉端に近づいた。そしてどさりと炉端にあぐらをかく音がする。木の枝を折る音がする。しかし真っ暗なので勘太郎はただ耳で様子をきくより外はなかった。

と、同時に囲炉裏には火がめろめろと燃え出した。勘太郎は天井の穴に目をつけて下を覗き始めた。めろめろとした赤い炎は、炉端に座っている四匹の鬼の顔を照らした。土間を正面に見た旦那座に座っているのが鬼の大将であろう。腰のまわりに獣の皮を巻いて大あぐらをかいている。口の両端から現れている牙が炎に照らされて金の牙のように光っている。勘太郎も一目見て、なるほどこいつぁうっかりかかったら、頭からひとかじりにやられそうだと思った。

家来の三匹の鬼は大将ほど大きな牙は生えていないが、目の光るところを見ただけでも勘太郎は体中がすくむような気持ちになった。勘太郎は、ぴったりと天井に腹ばったまま身動きもせず、じっと下の様子を見ていた。

間もなく鬼どもは話を始めた。まず家来の鬼がいった。

「今夜みたいに不猟なことはねえ。腹がへってやりきれねえよ。