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おにたいじ
鬼退治
下村 千秋
「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,214 字 · 11 页
」
「ほんとにろくな晩じゃねえ。人の子一匹つかまえなかった。腹の虫がグーグー鳴るわい。」と外の家来が合槌を打った。
すると大将の鬼がみんなを見回して、
「そのうちに村の若者がやって来る。落ちついて待っていろ。」と言った。
「いや親分、いくら人間が馬鹿だって今夜も来るようなことはあるまい。もうこりてるはずだよ。」
「ところがきっと来る。人間という奴は、自分たちが世界で一番強いものだと思っているんだからしようがない。村中の奴らがみんな食われてしまうまでやって来るに違いないよ。」と大将の鬼は大将だけに偉そうなことをいった。
「そりゃそうだな。力もろくにないうえに、知恵が足りないと来てるんだから人間もかわいそうなもんだ。」と家来の鬼は言って鼻を高くした。
「ところで人間がおれたちより弱いとなると、世界中でおれたちより強いものは何だろう。」と今まで黙って火を燃していた家来の鬼が言った。
「何もないよ。おれたちの敵は世界中にないんだよ。」と外の家来がいばった顔をした。
「いや、一つあるよ。たった一つおれたちより強いものがいる。」と大将の鬼がまじめな顔をしていった。
「何だろう。