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まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

ソ、それも、かく申す拙者が発起人でナ、ま、喜んで下され、決まりましたよ」

喬之助は、無言である。依然として、そここことなく見廻して笑っているのだ。

笑っているので、段々きいて来たかと思った玄蕃、今にも用人どもがやってくるであろう。そうしたら、サッと室外へ飛び退こうという心構え、チラ、チラと廊下の方へ眼を配りながら、

「わしらも、後悔しておる。ちと悪ふざけの度が過ぎました。それも、仲間うち――と思えばこそ、まったく、貴殿のことは、拙者など、失礼ながら、弟のように思っておりましたからな。それでああいう冗談も出来たのじゃが、他人と思えば、ゆめにも出来ぬことじゃ。冗談――と言えば、冗談から駒が出ましたなア。ほんとに、冗談から出た駒じゃ。しかし、貴殿は大変でござったろう? どこにおられた?」

喬之助は、答えない。

「実はナ。あれからすぐ、貴殿に詫び状を入れようというので、拙者など、率先してゆくえを捜したが、どうも弱った。皆目影を見せんとは、人が悪いよ、貴殿も」おかしくもないのに、笑いを揺すり上げて「人にも聞いて下され、貴殿は御存じあるまいが、拙者は常に貴殿の味方でござったよ。