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まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

お手のものの幇間式に、おひゃらかしてこの場を濁そうとした長庵だが、咬みつくように呶鳴りつけられて眼をパチクリ、黙りこんだ。形勢不穏である。首の問題は第二、神保造酒はくるりと長庵に向き直っている。

「コレ坊主め! この女子はどこの馬の骨だ?」

言うことが荒っぽい。

二

「ウヘッ! 馬の骨? 先生、情ない。ナ、何ぼ何でも、馬の骨とは情ない……」長庵は、誤魔化してしまおうというので一生懸命だ。「御自身御執心の園絵さまをさして馬の骨とは、そりゃ先生、聞えません。へい、第一、園絵さまをおつれするようにと、先生から脇坂様へお話がありましたればこそ、こうして手前が――」

「長庵さま! 何をおっしゃるのです。わたしは……」

必死に言い立てようとするお妙を、長庵は、手を出して口を塞がんばかりに、

「何を言わっしゃる。お妙どの……」

うっかりお妙どのと言ってしまったから、造酒は耳ざとく聞き咎めて、

「フム、お妙と申すのか。いずれさようなところであろうと思っておった。これよ、坊主、貴様は黙っておれ!」と長庵を極めつけて、ジロリとお妙を見た。「妙! 貴様はどこの娘だ。