轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まぞう
魔像
林 不忘
新版大岡政談
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页
が、お絃はちょっとしんみりして、
「でも、ほんとに、今日あたり、喧嘩の一つも持ち込みがないと、困るねえ」
「まったくだ。こんなにアブレつづきじゃア、第一、からだが痩せちまわア」
喧嘩渡世だけに、夫婦の愚痴も変っている。
そこへ、ガラッ! 威勢よくおもての格子があいて、聞き慣れない人の訪れる声がする。
「御めん下さい。喧嘩屋さんはこちらでございますか」
喧嘩屋と来た。
ソラ来た! と、ホッとした顔を見合わせた右近とお絃――さかずきを置いた右近は、そら見ろというように、ちょっと舌を出して、笑いながら右の腕を叩いた。
お絃は、上り口のはしへ、からだを捻じ向けていた。
「はい。こちらはそのお訪ねの家でございますが、あなた様は、どちらから――?」
「喧嘩の先生は御在宅でございましょうか」
いうことが一々変り過ぎてる。
喧嘩の先生には、さすがのお絃も眼をぱちくりさせて、
「はい、右近さまなら、ここにおいでですが――」
「そりゃアよかった。あっしは下谷黒門町の左官職、壁辰てエ者でございます」
言いながら、外から、上り框の障子をあけるのと一拍子に、茨右近は、もうスックと起ち上っていた。