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あゆのくいかた
魯山人の食卓
北大路 魯山人
北大路魯山人『魯山人の食卓』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鮎の食い方、いなせな縞の初鰹、鰻の話、京都のごりの茶漬け、車蝦の茶漬け、塩昆布の茶漬け、鍋料理の話、握り寿司の名人、日本料理の基礎観念、鱧・穴子・鰻の茶漬け、一癖あるどじょう、河豚は毒魚か、鮪の茶漬け、鮪を食う話、味覚馬鹿、夜寒に火を囲んで懐しい雑炊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,022 字 · 115 页
命取りだ。
次が西銀座にすばらしい店舗を持つ「久兵衛」である。この店の主人は珍しく人物ができていて、寿司屋にしておくのには惜しいくらいの男である。幼少から寿司屋として育って来たため、それなりの寿司屋になっているが、もし大学でも出ていれば現在は少なくとも局長、次官はおろか大臣級になっていたかも知れない。ともかく、苦労を積んだ、頭のよいできた人物といえよう。その気骨稜々意気軒昂たる気構えは、今様一心太助といってよい。こちらがヘナチョコでは、おくれをとって寿司はまずいかも知れない。そんな男であるから、気むずかし屋で鳴っている鮎川義介翁に早くから認められ、戦時中ことに戦後は鮎川翁のひいき大なるものがあったようである。
寿司屋としての店頭は、古臭い寿司屋形式を排し、一躍近代感覚に富むところの新建築をもって唖然たらしめるものがあり、高級寿司屋を説明して余りあるものがある。しかし表構えはただ「久兵衛」と書いてあるのみ、寿司屋ともなんとも表現していない。なに知らぬ者にはちょっと飛び込みにくい様相を呈し、遅疑逡巡、終には素通りする者も少なくなかろう。それがため、店内に居並ぶ客種は普通の寿司屋にみるように、A級、B級、C級と混合していないのが特色である。